はじめに|病気で働けなくなったとき、「収入がなくなる」とは限らない
適応障害やうつ病などによって休職すると、病気そのものへの不安だけでなく、生活費についての心配も生じます。
「休職して給与がなくなったら、どうやって生活すればよいのか」
「このまま退職したら、傷病手当金はどうなるのか」
「退職後は失業手当を受ければよいのか」
「長期間働けない場合には、ほかに利用できる制度はないのか」
こうした疑問を持つ方は少なくありません。
日本には、病気によって働けなくなった方を支える複数の公的制度があります。ただし、利用できる制度は、会社に在籍しているのか、すでに退職しているのか、現在働ける状態なのか、まだ療養が必要なのかによって変わります。
特に重要なのが、「病気のため働けない状態」と、「働くことはできるが仕事がない状態」は制度上異なるということです。雇用保険の基本手当、いわゆる失業手当は、働く意思と能力があり、求職していることが前提となります。したがって、退職していても病気のためまだ働けない場合には、別の制度を利用することになります。
この記事では、
休職中 → 退職したがまだ働けない → 回復して求職できる → 療養が長期化する
という時間の流れに沿って、利用を検討できる制度を紹介します。
また、各制度の冒頭には、「相談先」と「概ねの受給額・減免額」を記載しています。利用したい制度が見つかったときに、次にどこへ相談すればよいのかまで分かる構成としています。
なお、以下の金額は2026年8月時点の制度をもとにした目安です。公的制度は改正されることがあり、年齢、所得、加入期間、家族構成、退職理由、居住する自治体などによっても実際の金額は変わります。
実際に申請するときには、この記事だけで受給可否を判断せず、必ず健康保険、ハローワーク、市区町村、日本年金機構などで最新の条件・金額・必要書類・申請期限を確認してください。
休職中は、まず傷病手当金による所得保障を確認する
- 相談先: 勤務先の人事・総務、加入している健康保険(協会けんぽ・健康保険組合など)
- 受給額の目安: おおむね休職前の給与の3分の2程度。正確には、原則として支給開始前12か月間の標準報酬月額の平均を30で割り、その3分の2を1日分として計算する。支給期間は支給開始日から通算1年6か月。 (協会けんぽ)
会社員が適応障害やうつ病によって働けなくなった場合、最初に確認したいのが健康保険の傷病手当金です。
傷病手当金は、業務外の病気やけがの療養のため仕事をすることができず、給与を十分に受けられない場合に、休職中の所得を補う制度です。
たとえば標準報酬月額が30万円程度であれば、単純化すると1日あたり約6,700円、30日分で約20万円が一つの目安になります。ただし、実際には標準報酬月額を用いて計算され、給与が一部支払われている場合などには調整されます。
適応障害やうつ病などの精神疾患も、医学的に仕事をすることができない状態であり、その他の要件を満たせば対象になり得ます。
申請書には本人、事業主、医師などが記入する部分があります。医師は療養のため仕事ができなかったと認められる期間などについて意見を記載しますが、最終的に支給を決定するのは健康保険です。
休職が決まったら、勤務先に、
- 休職中の給与の有無
- 傷病手当金の申請方法
- 会社側で必要となる手続き
- 休職中の社会保険料の支払い方法
をまとめて確認しておくとよいでしょう。
仕事が原因で発症した可能性がある場合には、労災保険も検討する
- 相談先: 労働基準監督署
- 受給額の目安: 休業4日目以降、原則として給付基礎日額の80%相当。内訳は休業(補償)等給付60%+休業特別支給金20%。業務上の傷病として認められた治療については療養(補償)等給付もある。 (厚生労働省)
適応障害やうつ病を発症した背景として、
- 長時間労働
- パワーハラスメント
- セクシュアルハラスメント
- 業務上の重大なトラブル
- 強い責任を伴う出来事
など、仕事による強い心理的負荷がある場合には、労災保険の対象となる可能性があります。
休業(補償)等給付の計算に使われる「給付基礎日額」は、原則として発症前の平均賃金をもとに算出されます。たとえば給付基礎日額が1万円であれば、休業1日につき合計8,000円相当が一つの目安です。
ただし、精神疾患になったというだけで労災になるわけではありません。発症前の仕事内容や勤務時間、職場で起きた出来事などを踏まえて、業務による心理的負荷との関係が審査されます。
傷病手当金と労災保険は別の制度です。同じ病気について両方から自由に重複して受給できるわけではないため、仕事との関連が疑われる場合には労働基準監督署へ相談してください。
精神科への通院が続く場合は、自立支援医療で医療費を軽減できることがある
- 相談先: 市区町村の障害福祉・精神保健福祉担当窓口
- 減免額の目安: 対象となる精神科通院医療について、通常の健康保険3割負担から原則1割負担へ軽減。さらに所得等に応じて月額自己負担上限が0円、2,500円、5,000円、10,000円、一定の場合20,000円などに設定される。 (厚生労働省)
休職すると収入が減る一方で、精神科への診察や薬物療法は継続することがあります。
そこで利用を検討したいのが、自立支援医療(精神通院医療)です。
たとえば、自立支援医療の対象となる診療・薬剤等について健康保険の自己負担が通常9,000円だった場合、単純には1割負担となることで3,000円程度になります。
さらに、所得の低い方などには月額上限があります。
たとえば低所得区分では月2,500円または5,000円などの上限が設定されます。これは「毎月必ず5,000円を払う」という意味ではなく、1割負担の合計が上限に達したら、その月はそれ以上の対象医療費を負担しないという仕組みです。
うつ病などでは「重度かつ継続」に該当する場合もあり、所得区分に応じた上限が適用されます。具体的な区分は市区町村で確認してください。
傷病手当金が生活費を補う制度なのに対し、自立支援医療は医療費を軽くする制度です。この二つは役割が異なります。
休職したまま退職するときは、退職前に傷病手当金の継続給付を確認する
- 相談先: 退職前に加入している健康保険
- 受給額の目安: 退職前に受けていた傷病手当金と基本的に同じ計算方法。新たに1年6か月もらえるわけではなく、支給開始日から通算1年6か月の残りの期間が対象。 (協会けんぽ)
「傷病手当金を受けている途中で退職すると、翌日から支給がなくなる」とは限りません。
一定の条件を満たす場合には、資格喪失後も傷病手当金の継続給付を受けられます。
したがって、
休職 → 傷病手当金を受給 → 病状が改善しないまま退職
という場合には、退職後の所得保障として重要な制度になります。
ただし、退職した時点から新しく1年6か月が始まるわけではありません。
すでに傷病手当金を10か月受けているのであれば、原則として残りの支給可能期間を継続するという考え方です。
退職日の勤務状況なども受給可否に関係するため、退職してからではなく、できれば退職日を決める段階で健康保険に確認することをおすすめします。
退職後もまだ働けない場合は、失業手当より先に「受給期間延長」を確認する
- 相談先: 住所または居所を管轄するハローワーク
- 受給額の目安: 受給期間を延長している療養中に、この制度から現金が支給されるわけではない。 基本手当を受けられる期限を、働けない期間について最長3年間延長できる。 (ハローワーク)
ここは特に誤解されやすいところです。
雇用保険の基本手当、いわゆる失業手当は、原則として「今すぐ働くことができる人」が求職している場合の所得保障です。
したがって、
退職したものの、うつ病の症状が強く、まだ仕事を探せない
という場合には、すぐに基本手当を受ける状態とは異なります。
この場合に重要なのが受給期間延長です。
基本手当の受給期間は原則として離職日の翌日から1年間ですが、病気やけがなどによって引き続き30日以上働けない場合、その働けない期間を最長3年間追加できます。
これは「給付が3年分増える制度」ではありません。
今は療養を続け、回復して働けるようになったときに失業手当を受けられるよう、期限を後ろへ延ばしておく制度です。
そのため、退職時点でまだ働けない方は、
傷病手当金の継続給付 → 療養しながら雇用保険の受給期間を延長 → 回復後に基本手当
という流れになることがあります。
病状が回復して働けるようになったら、失業手当を利用する
- 相談先: ハローワーク
- 受給額の目安: 離職前6か月の賃金をもとにした「賃金日額」のおおむね50~80%。60~64歳では45~80%。2026年8月1日時点の1日当たり上限は、30歳未満7,450円、30~44歳8,270円、45~59歳9,110円、60~64歳7,830円。 (厚生労働省)
療養によって症状が改善し、
「採用されれば現在の自分は働くことができる」
という状態になったら、雇用保険の基本手当を利用する段階です。
基本手当は、離職前の賃金が低いほど給付率が高くなる仕組みになっています。
たとえば基本手当日額が6,000円で、所定給付日数が90日なら、単純な総額では54万円相当となります。
実際の所定給付日数は、年齢、雇用保険の加入期間、離職理由などによって異なり、90~360日の範囲で設定されます。
病気を理由に退職した場合は離職理由も確認する
心身の障害や疾病などによって離職せざるを得なかった場合、雇用保険上の特定理由離職者に該当する可能性があります。
自分から退職届を出したというだけで、「通常の自己都合退職」と決めつける必要はありません。
離職理由はハローワークが事情や資料を確認して判断するため、精神疾患のため勤務継続が困難となって退職した場合には、その経緯も含めて相談してください。
退職後は健康保険と国民年金の負担についても確認する
国民健康保険
- 相談先: 市区町村の国民健康保険担当窓口
- 減免額の目安: 一律ではなく自治体・前年所得・世帯構成によって異なる。一定の特定受給資格者・特定理由離職者では、保険料計算上、前年の給与所得を30%として計算する軽減制度がある。これは「保険料が70%引きになる」という意味ではない。 (厚生労働省)
会社を退職すると、健康保険について、
- 国民健康保険
- 退職前の健康保険の任意継続
- 家族の健康保険の扶養
などを検討します。
国民健康保険料は自治体や前年所得によって異なるため、全国共通の「月○円」という金額はありません。
また、失業等によって支払いが困難になった場合には、自治体独自の減免や納付相談を利用できることがあります。
病気を理由とする退職が雇用保険上の一定の特定理由離職者に該当した場合などには、前年の給与所得を30%として国民健康保険料を計算する制度の対象となることがあります。
なお、任意継続を選んだ場合は在職時と異なり事業主負担がなくなるため、原則として保険料を本人が全額負担します。協会けんぽでは2026年度の任意継続被保険者の標準報酬月額上限は32万円です。
国保と任意継続のどちらが安いかは個人差が大きいため、退職前後に両方の金額を確認して比較するのがよいでしょう。
国民年金保険料の免除・納付猶予
- 相談先: 市区町村の国民年金窓口、年金事務所
- 減免額の目安: 2026年度の国民年金保険料は月17,920円。全額免除なら月17,920円の支払いが不要。4分の3免除なら月4,480円、半額免除なら月8,960円、4分の1免除なら月13,440円を納付する。 (年金機構)
退職後、国民年金の第1号被保険者となったものの、収入の減少によって保険料を払うことが難しい場合には、免除・納付猶予制度があります。
2026年度であれば、全額免除になると年間では単純計算で約21万5,000円の支払いが免除されることになります。
ただし、免除を受けると将来の老齢基礎年金額にも影響します。たとえば全額免除期間は、全額納付した場合の2分の1が老齢基礎年金額に反映されます。一方、納付猶予期間は受給資格期間には算入されますが、そのままでは年金額には反映されません。
重要なのは、払えないからといって未納のまま放置しないことです。
精神疾患が長期化した場合には、障害年金を検討する
- 相談先: 年金事務所など
- 受給額の目安: 2026年度の障害基礎年金は、2級が年847,300円(月平均約7.1万円)、1級が年1,059,125円(月平均約8.8万円)。一定の子がいる場合は加算がある。障害厚生年金は過去の報酬等によって異なり、3級の最低保障額は年635,500円。 (年金機構)
適応障害やうつ病などによる療養が長期化し、日常生活や仕事に大きな制限が続く場合には、障害年金を検討することがあります。
精神科に通院しているだけで自動的に受給できる制度ではありません。
一方、「まったく働けない人しか受給できない」という制度でもありません。
精神疾患の場合には、日常生活や社会生活にどの程度の制限が生じているかなどをもとに、障害の状態が評価されます。
障害基礎年金と障害厚生年金
国民年金から支給される障害基礎年金では、2026年度は次の額です。
| 等級 | 年額の目安 |
|---|---|
| 1級 | 1,059,125円 |
| 2級 | 847,300円 |
さらに、生計を維持している一定の子がいる場合には、2人目まで1人につき年243,800円、3人目以降は1人につき年81,300円が加算されます。
会社員として厚生年金に加入している間に初診日がある場合には、障害厚生年金が問題になります。
障害厚生年金1級・2級の金額には過去の報酬や加入期間が関係するため、一律には示せません。3級には最低保障額があり、2026年度は年635,500円です。
障害年金では、初診日、保険料納付要件、障害の程度などが重要です。
「自分が対象になるかもしれない」と考えた段階で、年金事務所へ相談するとよいでしょう。
家賃や生活費が厳しくなったら、生活困窮者向けの支援を利用する
住居確保給付金
- 相談先: 地域の自立相談支援機関
- 受給額の目安: 実際の家賃額を、市区町村ごとの住宅扶助額を上限として支給。原則3か月、要件を満たせば最大9か月。上限額は自治体・世帯人数によって異なる。 (生活福祉資金の特例貸付・住居確保給付金特設ウェブサイト)
退職や大幅な収入減によって家賃の支払いが難しくなった場合には、住居確保給付金を利用できる可能性があります。
金額は全国一律ではありません。
たとえば単身世帯でも地域によって月3万円台、4万円台、それ以上など上限が異なります。実際の家賃が上限より安ければ、原則としてその家賃額をもとに支給されます。
なお、給付金は原則として自治体から大家や不動産事業者等へ直接支払われます。
収入や預貯金、求職活動などについて要件があるため、まず自立相談支援機関に相談してください。
生活困窮者自立支援制度
- 相談先: 自立相談支援機関
- 受給額の目安: 相談そのものについて一律の現金給付がある制度ではない。住居確保給付金、家計改善支援、就労準備支援など、状況に応じた制度へつなぐ役割を持つ。
「どの制度を利用すればよいのか分からない」という場合には、自立相談支援機関が有力な入口です。
このウェブサイトの「申請・相談窓口」ページから、お住まいの地域の相談窓口を調べることができます。
家賃、生活費、仕事、家計などを別々に相談するのではなく、生活全体の問題として整理してもらうことができます。
一時的な生活費が必要な場合には生活福祉資金貸付制度もある
- 相談先: 市区町村社会福祉協議会
- 貸付額の目安: 総合支援資金の生活支援費は、単身世帯で月15万円以内、2人以上の世帯で月20万円以内。原則3か月で、一定の場合は最長12か月。住宅入居費は40万円以内、一時生活再建費は60万円以内。 (厚生労働省)
生活福祉資金貸付制度は、低所得世帯などの生活再建を支えるための制度です。
重要なのは、これは傷病手当金や障害年金のような給付ではなく貸付だということです。
総合支援資金の生活支援費では、単身なら月15万円、2人以上なら月20万円が上限の目安となっています。保証人がいる場合には無利子、保証人がいない場合には年1.5%とされています。
将来的な返済を前提とするため、家計全体を確認しながら利用を検討します。
他の制度を利用しても生活を維持できない場合には、生活保護を検討する
- 相談先: 居住地域を管轄する福祉事務所
- 受給額の目安: 一律の金額ではなく、世帯ごとに計算される最低生活費-世帯の収入=生活保護費。地域、年齢、世帯人数、家賃などによって大きく異なる。 (厚生労働省)
傷病手当金、年金、その他の社会保障給付や収入・資産を活用しても最低限度の生活を維持することが難しい場合には、生活保護があります。
生活保護は単に「毎月○万円が支給される制度」ではありません。
厚生労働大臣が定める基準から世帯ごとの最低生活費を計算し、収入がそれを下回る場合に、不足する差額を補う仕組みです。
生活扶助だけでなく、
- 住宅扶助
- 医療扶助
- 介護扶助
などがあります。
そのため、同じ一人暮らしでも東京と地方では住宅扶助の上限が異なり、子どもがいる世帯では必要生活費も異なります。全国共通の受給額を示すことはできません。
病気で生活が苦しくなった場合、「貯金が完全にゼロになるまで相談してはいけない」と考える必要はありません。今後の生活維持が難しいと感じた段階で福祉事務所に相談してください。
回復して再就職を目指す段階では、職業訓練中の給付を利用できる場合がある
- 相談先: ハローワーク
- 受給額の目安: 求職者支援制度の要件を満たす場合、職業訓練受講手当として月10万円。これに通所手当などが加わる場合がある。 (厚生労働省)
病状が改善し、再び働くことができる段階になったら、再就職のための支援も利用できます。
雇用保険を受給できない求職者などを主な対象とする求職者支援制度では、無料の職業訓練を受けながら、一定の要件を満たす場合には月10万円の職業訓練受講手当を受けることができます。
2026年8月時点では、主な要件として本人収入月8万円以下、世帯全体の収入月30万円以下、世帯の金融資産300万円以下などがあります。要件は支給単位期間ごとに確認されます。
雇用保険の基本手当を受けながら公共職業訓練を受ける場合には、別途、受講手当日額500円や通所手当などの対象になる場合もあります。
何度も窓口へ行かなくて済むように、相談先ごとにまとめて確認する
精神疾患で休職しているときには、行政手続きを行うこと自体が大きな負担になることがあります。
制度を一つずつ別々の日に相談するのではなく、相談先ごとに確認したい内容をまとめておくと効率的です。
勤務先の人事・総務でまとめて確認する
- 会社の休職制度
- 休職できる期間
- 休職中の給与
- 傷病手当金の社内手続き
- 社会保険料の支払い方法
- 会社独自の所得補償や見舞金
- 退職する場合の必要書類
- 離職票の発行
特に退職を検討している場合には、健康保険にも傷病手当金の継続給付について確認してから退職日を決める方が安全です。
健康保険でまとめて確認する
- 傷病手当金の受給条件
- 1日あたりの支給額
- 支給可能な残り期間
- 退職後の継続給付
- 退職日に関する注意点
- 任意継続の保険料
「退職後も傷病手当金を受けたい」と最初に伝えると、確認すべき事項を整理しやすくなります。
ハローワークでまとめて確認する
- 現在まだ働けない場合の受給期間延長
- 回復した後の基本手当
- 基本手当日額と所定給付日数
- 離職理由
- 特定理由離職者への該当可能性
- 職業訓練
- 求職者支援制度
- 再就職支援
特に最初に、
「今はまだ働けません」
のか、
「現在は働けるので仕事を探したいです」
のかを伝えることが重要です。
市役所・区役所では保険・年金・医療費を同じ日に確認する
退職後に市区町村役所を訪れる場合には、
- 国民健康保険への加入
- 国民健康保険料の軽減・減免
- 国民年金への切り替え
- 国民年金保険料の免除・納付猶予
- 自立支援医療
- 必要に応じて精神障害者保健福祉手帳
- 自治体独自の支援制度
をまとめて確認するとよいでしょう。
実際には担当課が異なる場合があります。
そのため訪問前に、
「退職したので、国民健康保険、国民年金保険料の免除、自立支援医療について同じ日に相談したいです。必要書類と回る窓口を教えてください」
と電話で伝えておくと、訪問回数を減らしやすくなります。
年金事務所でまとめて確認する
- 国民年金保険料の免除・納付猶予(市区町村役場でも可能)
- 失業による免除特例
- 障害年金の対象になる可能性
- 初診日(医療機関で確認)
- 請求に必要な書類
障害年金は加入歴や報酬によって金額が異なるため、障害厚生年金については年金事務所で具体的な確認をするとよいでしょう。2026年度の基礎年金・厚生年金額も改定されています。
自立相談支援機関では生活上の困りごとをまとめて相談する
- 家賃が払えない
- 生活費が足りない
- 住居確保給付金を利用したい
- 家計を立て直したい
- まだすぐには働けない
- 将来的に再就職したい
- どの制度を利用できるか分からない
といった問題をまとめて相談できます。
特に、制度名が分からなくても相談できることが重要です。
「退職して収入がなくなり、このままだと数か月後に家賃が払えません」といった現在の困りごとをそのまま伝えて構いません。
社会福祉協議会では貸付制度を相談する
生活福祉資金を利用したい場合には、市区町村社会福祉協議会へ相談します。
現金給付ではなく返済が必要な貸付なので、ほかに利用できる給付制度がないかも含めて確認するとよいでしょう。
労働基準監督署では仕事が原因と思われる発症を相談する
長時間労働やハラスメントなどと精神疾患との関係について労災申請を検討する場合には、労働基準監督署へ相談します。
勤務時間の記録、メール、会社とのやり取りなどが残っている場合には、相談前に整理しておくと役立ちます。
福祉事務所では生活保護について相談する
ほかの制度や収入・資産を活用しても生活を維持できない場合には、福祉事務所の生活保護担当へ相談します。
生活保護費は世帯ごとに計算されるため、「自分の場合はいくらになるのか」も具体的に確認できます。 (厚生労働省)
現在の状態から、利用できる制度を整理する
| 現在の状態 | 主に確認する制度 | 金額・軽減の目安 | 主な相談先 |
|---|---|---|---|
| 会社に在籍し、病気で休職中 | 傷病手当金 | 給与のおおむね3分の2 | 勤務先・健康保険 |
| 仕事が発症原因の可能性 | 労災保険 | 給付基礎日額の80%相当+療養給付等 | 労働基準監督署 |
| 精神科通院費が負担 | 自立支援医療 | 原則3割→1割、所得等により月額上限 | 市区町村 |
| 休職したまま退職 | 傷病手当金の継続給付 | 退職前と基本的に同じ計算 | 退職前の健康保険 |
| 退職したがまだ働けない | 雇用保険の受給期間延長 | 延長中の現金給付はなし | ハローワーク |
| 回復して求職できる | 雇用保険の基本手当 | 離職前賃金のおおむね50~80% | ハローワーク |
| 国民年金保険料が払えない | 免除・納付猶予 | 最大月17,920円の支払いを免除 | 市区町村・年金事務所 |
| 国保が負担 | 軽減・減免 | 自治体・離職理由等による | 市区町村 |
| 精神疾患が長期化 | 障害年金 | 障害基礎年金2級で年847,300円など | 年金事務所 |
| 家賃が払えない | 住居確保給付金 | 自治体の住宅扶助上限まで | 自立相談支援機関 |
| 一時的な生活資金が必要 | 生活福祉資金 | 単身月15万円、2人以上月20万円以内など | 社会福祉協議会 |
| 最低限の生活を維持できない | 生活保護 | 最低生活費と収入との差額 | 福祉事務所 |
| 回復後に職業訓練を受けたい | 求職者支援制度 | 要件を満たせば月10万円など | ハローワーク |
まとめ|「今の状態」「金額」「相談先」の三つから制度を探す
適応障害やうつ病によって働けなくなった場合、休職した瞬間から退職後まで同じ制度を使い続けるわけではありません。
休職中の中心的な所得保障は、まず傷病手当金です。金額は概ね休職前の給与の3分の2程度となります。 (教会憲法)
仕事が発症原因と考えられる場合には、労災保険を検討します。休業(補償)等給付と特別支給金を合わせると、休業1日につき給付基礎日額の80%相当が一つの目安です。 (厚生労働省)
精神科への通院が続く場合には、自立支援医療によって原則1割負担まで医療費を軽減できる可能性があります。 (厚生労働省)
休職したまま退職する場合には、傷病手当金の退職後継続給付を確認します。
退職後もまだ働けないのであれば、すぐ失業手当を受けるのではなく、雇用保険の受給期間延長を行い、回復するまで受給できる期限を延ばしておくという方法があります。延長しているだけでは現金は支給されない点には注意が必要です。 (ハローワーク)
回復して求職できるようになったら、雇用保険の基本手当へ移ります。
一方、療養が長期化して日常生活や就労への制限が大きい場合には、障害年金も検討します。2026年度の障害基礎年金2級は年847,300円、1級は年1,059,125円です。 (年金機構)
さらに、国民年金保険料の免除、国民健康保険料の軽減、自立支援医療などの「支出を減らす制度」を組み合わせることも重要です。
生活費や家賃そのものが厳しくなれば、自立相談支援機関を入口に、住居確保給付金や生活福祉資金などを検討できます。最低限度の生活を維持できない場合には、生活保護も公的なセーフティーネットです。 (生活福祉資金の特例貸付・住居確保給付金特設ウェブサイト)
そして、体調が悪い時期に行政窓口を何度も訪れる負担はできるだけ減らしたいものです。
市役所や区役所へ行く前には、
「退職したので、国民健康保険、国民年金の免除、自立支援医療を同じ日に相談したい」
と伝え、担当窓口と必要書類を事前に確認しておくとよいでしょう。
公的制度は非常に有用ですが、金額や受給条件は改正されます。
この記事で利用できそうな制度を見つけたら、その制度を担当する公的窓口で最新の条件と実際の受給額を確認することが最後の重要なステップです。
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参考文献
- 全国健康保険協会.傷病手当金|給付と手続き.2026年閲覧.
- 厚生労働省.休業(補償)等給付の計算方法.2026年閲覧.
- 厚生労働省.自立支援医療制度の概要.2026年閲覧.
- 厚生労働省・ハローワーク.基本手当について.2026年閲覧.
- 厚生労働省.雇用保険の基本手当日額の変更―令和8年8月1日から.2026.
- 日本年金機構.国民年金保険料.2026.
- 日本年金機構.国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度.2026年閲覧.
- 日本年金機構.障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額.2026.
- 日本年金機構.障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額.2026.
- 厚生労働省.住居確保給付金.2026年閲覧.
- 厚生労働省.生活福祉資金貸付条件等一覧.2026年閲覧.
- 厚生労働省.生活保護制度.2026年閲覧.
- 厚生労働省.ハロートレーニング―就職支援・給付金などについて.2026年閲覧.