はじめに|「死にたい」は、つらい感情から逃れるための考えとして現れることがある
「仕事で失敗すると、すぐに死にたくなってしまう」
「恋人や家族と喧嘩をすると、『もう死にたい』と考えてしまう」
「普段は普通に生活しているのに、つらいことがあると急に死にたくなる」
このような経験を繰り返している方は少なくありません。
「死にたい」という考えのことを、医学では**希死念慮(きしねんりょ)**と呼びます。ただし、同じ「死にたい」という言葉でも、その背景にある状態は人によって異なります。
うつ病が重くなり、「この先もずっと良くならない」と感じて希死念慮が生じることがあります。双極性障害、統合失調症などに伴う精神病症状、PTSD、強い不安や不眠、アルコールやその他の物質使用などが関係する場合もあります。
その一方で、
「嫌なことがあると、一気に死にたくなる」
「人から拒絶されたと感じると、急に『もう終わりだ』と思ってしまう」
というように、強い感情に圧倒されたとき、その苦痛から逃れるための考えとして「死にたい」が現れることもあります。
たとえば、恋人から別れを告げられたとします。
悲しみを感じながらも、
「今はつらいけれど、少し時間が必要だ」
「今日は友人に話を聞いてもらおう」
と考えられるのであれば、苦しい中にも複数の選択肢が残っています。
ところが感情が極端に強くなると、
「捨てられた」
「自分には価値がない」
「この苦しさには耐えられない」
「もう全部終わらせたい」
と、考えられる選択肢が急速に狭まることがあります。
そして、
「死んでしまえば、この苦しみを感じなくて済む」
という考えに行き着きます。
ここで大切なのは、「人生そのものを終わらせたい」という気持ちと、「今の苦痛から逃れたい」という気持ちは、必ずしも同じではないということです。
もちろん、本人自身が両者を明確に区別できるとは限りません。また、「苦痛から逃れたいだけだから大丈夫」と判断してよいわけでもありません。
希死念慮があるときには、まず自殺の危険性を考える必要があります。
具体的な自殺方法を考えている、実行する日時や場所を決めている、準備を始めている、自分では行動を止められそうにない、といった状態では、この記事で後述する苦痛耐性スキルを一つずつ試している段階ではありません。
一人にならず、周囲の人に状態を伝え、自殺に使用できるものから距離を置き、必要に応じて救急医療を利用するなど、安全を確保することが最優先です。
この記事では、切迫した自殺の危険性がある場合とは区別して、つらい感情が高まると繰り返し「死にたい」と考えてしまう場合に、どのように対処していくのかを中心に解説します。
なぜ「死にたい」という考えを繰り返すようになるのか
「死にたい」と考えること自体が、一時的に苦痛を軽くしてしまうことがあります。
たとえば、
「明日も職場に行かなければならない」
「この人間関係から逃げられない」
「この苦しみがずっと続く」
と考えていると、出口がないように感じます。
しかし、
「もう死んでしまえばいい」
という考えが浮かぶと、一瞬だけ「この苦しみから逃げる方法がある」と感じることがあります。
現実の問題は何も解決していません。それでも、「この苦しみにずっと耐えなければならない」という感覚が弱くなり、心理的な苦痛が少し下がることがあります。
すると、
つらい出来事が起こる
→ 強い感情が生じる
→ 耐えられないと感じる
→ 「死にたい」と考える
→ 苦痛から逃げられるような感覚が生じる
→ 一時的に苦痛が下がる
という流れができます。
この反応が何度も繰り返されると、次に強い感情が生じたときにも「死にたい」という考えが出てきやすくなります。
これは、その人が意図的に大げさに反応しているという意味ではありません。
むしろ、耐えがたい苦痛を何とか処理しようとした結果、「死にたい」と考えることが苦痛への対処方法の一つになってしまっていると考えると理解しやすいでしょう。
だからこそ、「死にたいと思わないようにする」だけでは十分ではありません。
「死にたい」という考えが担っていた苦痛から逃れるという役割に注目し、それ以外の方法で苦痛を乗り切れるようにする必要があります。
希死念慮への対処は「短期的対処」と「長期的対処」に分けて考える
希死念慮への対処を考えるときには、短期的対処と長期的対処を分けると理解しやすくなります。
短期的対処の目標は、今この瞬間の危機を乗り切ることです。
強い感情のピークでは、人生について冷静に考えること自体が難しくなります。そのため、まずは状況をさらに悪化させる行動を取らず、苦痛が下がるまでの時間を安全に乗り切ります。
一方、長期的対処では、
「なぜ自分はこのような場面で、ここまで感情が高まるのか」
「なぜ『死にたい』という考えに行き着きやすいのか」
を整理し、希死念慮が生じる背景そのものに取り組みます。
この記事では、短期的対処として、
- 苦痛耐性スキル
- あらかじめ処方されている頓服薬
- ケタミン治療
を取り上げます。
長期的対処としては、
- 希死念慮の原因となっている精神疾患の治療
- 感情調節能力を高めること
について考えます。
短期的対処法① 苦痛耐性スキルを使って、その場を乗り切る
具体的な自殺計画や準備がなく、自分の安全を保てる状態であれば、まず試したいのが苦痛耐性スキルです。
苦痛耐性(Distress Tolerance)は、弁証法的行動療法(Dialectical Behavior Therapy:DBT)で重視されているスキルの一つです。
苦痛耐性の目的は、つらい感情を完全になくすことではありません。
今すぐ解決できない強い苦痛があるときに、衝動のまま行動して状況をさらに悪化させず、感情のピークが過ぎるまでその時間を乗り切ることが目的です。
DBTでは、そのために複数の方法が用意されています。
すべてを一度に行う必要はありません。
「今の自分にはどれが使えそうか」と考え、いくつかの選択肢を持っておくことが大切です。
STOP|まず衝動のまま動かない
強い感情が生じたときに、最初に役立つのがSTOPです。
STOPは、それぞれ次の英単語の頭文字です。
- S:Stop|止まる
- T:Take a step back|一歩引く
- O:Observe|観察する
- P:Proceed mindfully|よく考えて次の行動を選ぶ
S:Stop|止まる
まず、その瞬間にしようとしている行動を止めます。
たとえば、
- 相手にメッセージを送ろうとしているなら、いったんスマートフォンを置く
- 家を飛び出そうとしているなら、その場で座る
- 仕事を辞める連絡をしようとしているなら、送信しない
- 自分を傷つけたい衝動があるなら、そのために使えそうなものから距離を取る
といった行動です。
この段階では、問題を解決する必要はありません。
まず「今すぐ行動しない」ことが目的です。
T:Take a step back|一歩引く
次に、問題から少し距離を取ります。
- 別の部屋に移動する
- 椅子に座る
- 深く息を吐く
- SNSやメッセージ画面を閉じる
- 「今は結論を出さない」と決める
などが選択肢です。
身体的にも心理的にも「一歩引く」ことで、感情と行動との間に時間を作ります。
O:Observe|観察する
次に、自分の中で何が起きているかを確認します。
たとえば、
- 「今、悲しいのか、怒っているのか、不安なのか」
- 「身体はどうなっているか。動悸がするか、息が速くなっているか」
- 「今、何をしたいという衝動があるか」
- 「実際に何が起きたのか」
を観察します。
ここでは、自分を説得する必要はありません。
「死にたいと思ってはいけない」と否定するのでもなく、
「今、自分には『死にたい』という考えが浮かんでいる」
と一歩離れて認識します。
P:Proceed mindfully|よく考えて次の行動を選ぶ
最後に、
「この状況をこれ以上悪化させないためには、次に何をするのがよいか」
を考えます。
たとえば、
- TIP(後述)を試す
- 家族や友人のいる場所へ移動する
- 頓服薬を使う
- 主治医や医療機関に相談する
- 今日は重大な決断をせず眠る
といった選択肢があります。
STOPは感情を消すためのスキルではありません。
衝動と行動の間に「間」を作り、その後に使うスキルを選ぶためのスキルと考えると分かりやすいでしょう。
TIP|身体から感情の強さを下げる
感情が非常に強いときには、
「考え方を変えよう」
「冷静になろう」
としてもうまくいかない場合があります。
そのようなときには、身体から働きかけるTIPを使います。
TIPでは、次の方法を利用します。
- T:Tip the Temperature|身体、とくに顔周辺を冷やす
- I:Intense Exercise|短時間、身体をしっかり動かす
- P:Paced Breathing|ゆっくり呼吸する
- P:Paired Muscle Relaxation|筋肉の緊張と弛緩を利用する
Pから始まる方法が2つ含まれています。
T:Tip the Temperature|身体を冷やす
たとえば、
- 冷たい水で顔を洗う
- 冷たいタオルを顔に当てる
といった方法があります。
強い感情に伴う身体の興奮へ、身体側から働きかけます。
ただし、心臓・血管系の病気などがある場合には強い冷刺激が適さないことがあります。持病がある方は無理をしないようにしてください。
I:Intense Exercise|短時間、身体を動かす
安全にできる範囲で、
- 速めに歩く
- 階段を上り下りする
- 筋力運動をする
など、短時間身体を動かします。
怒りや焦燥で身体が「今すぐ何かをしろ」という状態になっているときに、そのエネルギーを安全な運動に振り向けます。
身体疾患がある場合には、無理な運動を行わないでください。
P:Paced Breathing|呼吸をゆっくりにする
息を吸うことよりも、ゆっくり長く吐くことを意識します。
「今すぐ落ち着かなければ」と焦る必要はありません。
数分間、呼吸だけに注意を向けます。
P:Paired Muscle Relaxation|筋肉を緊張させてから緩める
肩、腕、手などに軽く力を入れ、その後ゆっくり力を抜きます。
これを呼吸と合わせて繰り返します。
「リラックスしよう」と頭で考えるだけでは難しいときに、筋肉を実際に緩めることで身体側から落ち着きを作ります。
ACCEPTS|別のことに注意を向けて、感情のピークをやり過ごす
問題について考え続けるほど、感情がさらに強くなることがあります。
そのようなときには、一時的に注意を別のところへ向けます。
DBTではこれをACCEPTSという頭文字で整理しています。
- A:Activities|活動する
- C:Contributing|誰かの役に立つことをする
- C:Comparisons|別の時点や状況と比較して見方を変える
- E:Emotions|別の感情を呼び起こす
- P:Pushing away|問題を一時的に脇へ置く
- T:Thoughts|別のことを考える
- S:Sensations|別の感覚に注意を向ける
たとえば、
Activities
- 散歩する
- 部屋を片付ける
- 動画を見る
- ゲームをする
- 料理をする
Contributing
- 家族の家事を手伝う
- 誰かに短いメッセージを送る
- 人のためになる小さなことをする
Comparisons
- 「前にも同じくらいつらい時間があったが、その後は少し落ち着いた」と思い出す
- 数時間前・数日前の自分と比較し、感情が変化することを確認する
Comparisonsは「自分より苦しい人を見て我慢する」という意味に限定する必要はありません。今の苦痛を少し違う視点から眺めるために使います。
Emotions
- 笑える動画を見る
- 穏やかな音楽を聴く
- 心が温かくなる作品を見る
Pushing away
- 「この問題について考えるのは明日の10時からにする」と決める
- 頭の中で問題を箱に入れ、いったん棚に置くイメージをする
Thoughts
- パズルをする
- 本を読む
- 数を数える
- 別の課題に集中する
Sensations
- 温かいシャワーを浴びる
- 冷たい水で手や顔を洗う
- 柔らかい毛布に触れる
大切なのは、問題から永遠に逃げることではありません。
感情が最も強い時間帯だけ、問題から一時的に離れるための方法です。
Self-Soothe|五感を使って自分を落ち着かせる
自分を落ち着かせるために五感を使う方法もあります。
たとえば、
- 見る:落ち着く写真や景色を見る
- 聞く:好きな音楽や穏やかな音を聴く
- 嗅ぐ:自分が落ち着く香りを使う
- 味わう:温かい飲み物などをゆっくり味わう
- 触れる:毛布、クッション、温かいシャワーなど心地よい触覚を利用する
苦痛が強いときには、「こんな小さなことで意味があるのか」と感じるかもしれません。
しかし、目的は問題を一度で解決することではありません。
苦痛を少しでも下げ、次の行動を選べる状態へ戻すことです。
IMPROVE|今いる状況を少しだけ耐えやすくする
どうしても今の状況そのものを変えられない場合には、IMPROVEという方法があります。
- I:Imagery|イメージを使う
- M:Meaning|意味を見いだす
- P:Prayer|祈る、または自分を超えたものに意識を向ける
- R:Relaxation|身体を緩める
- O:One thing in the moment|今この瞬間の一つのことだけに集中する
- V:Vacation|短い休息を取る
- E:Encouragement|自分に役立つ言葉をかける
たとえば、
Imagery
- 安全で落ち着ける場所を想像する
- 感情の波が少しずつ下がっていく場面を思い浮かべる
Meaning
- 「この経験から今すぐ何かを学ばなければ」と無理に意味づける必要はありません
- 「この時間を乗り切ること自体に意味がある」と考えることでも構いません
Prayer
- 宗教的な信仰がある方は祈りを利用できます
- 信仰がない場合には、自分より大きな時間の流れや自然などに意識を向けても構いません
Relaxation
- 横になる
- 肩の力を抜く
- 温かいシャワーを浴びる
One thing in the moment
- 「人生をどうするか」ではなく、「まずこの10分を過ごすこと」だけを考える
Vacation
- 10分だけベッドで休む
- 別の部屋へ移動する
- SNSや仕事から一時的に離れる
ここでいうVacationは、旅行に行くという意味ではなく、問題から短時間だけ休憩することです。
Encouragement
- 「今日は結論を出さなくていい」
- 「この感情が永遠に同じ強さで続くとは限らない」
- 「まず次の10分を乗り切ろう」
など、自分が実際に受け入れられる言葉を使います。
どの苦痛耐性スキルを使えばよいのか
多くの選択肢があると、逆に迷うかもしれません。
おおまかには、次のように考えると選びやすくなります。
- 衝動のまま何かをしそう
→ まず STOP - 動悸、焦燥、怒りなど身体の興奮が非常に強い
→ TIP - 同じことを延々と考え続けて苦痛が高まっている
→ ACCEPTS - 不安や悲しみの中で、自分を少し落ち着かせたい
→ Self-Soothe - 今は問題自体を変えられないので、とにかくこの時間を耐えたい
→ IMPROVE
一つだけで十分に下がらなければ、組み合わせても構いません。
たとえば、
STOPで行動を止める
→ TIPで身体の興奮を下げる
→ ACCEPTSで30分問題から離れる
→ 少し落ち着いたら家族に相談する
という使い方もできます。
重要なのは、苦痛を0にすることではありません。
苦痛が10から8に下がり、その結果として危険な行動を取らずに済んだのであれば、苦痛耐性スキルは役割を果たしています。
そして、危機のときに初めてこれらを使おうとしても難しいものです。
落ち着いているときから、
「自分ならSTOPの次に何をするか」
「TIPなら何ができそうか」
「ACCEPTSのActivitiesなら何を選ぶか」
をいくつか決めておくと、実際の危機で使いやすくなります。
短期的対処法② 頓服薬を内服する
苦痛耐性スキルを試しても、不安や焦燥が強く、十分に落ち着けないことがあります。
そのような場合には、あらかじめ医師から処方され、使用方法を決められている頓服薬を利用することがあります。
頓服薬は「希死念慮を直接治療する薬」というより、不安、焦燥、不眠など、現在の苦痛を増幅させている症状を一時的に軽減する補助的な手段として考える方が適切です。
自己判断で薬の量を増やしてはいけません。
とくに希死念慮がある場合には、薬そのものが過量服薬の手段になる可能性も考える必要があります。希死念慮が強くなったときの頓服薬の使い方や、薬をどの程度手元に置くのかについては、あらかじめ主治医と相談しておくことが大切です。
短期的対処法③ ケタミン治療によって希死念慮を軽減する
希死念慮を比較的速やかに軽減する可能性のある医学的治療として、ケタミン療法の研究が進んでいます。
ケタミンはもともと麻酔薬として使用されてきた薬ですが、麻酔に使用するよりも少ない量を投与することで、うつ症状や希死念慮を比較的速く改善する可能性が報告されています。
一般的な抗うつ薬では、十分な効果を判断できるまでに数週間かかることがあります。
一方、ケタミンでは、一部の患者さんで投与後数時間から1日程度という早い時間から希死念慮の変化が認められています。
2022年にBMJに掲載されたランダム化比較試験では、強い希死念慮を持つ入院患者さん156人を対象として、静脈内ケタミンまたはプラセボが投与されました。
3日後に希死念慮がほぼ消失した患者さんの割合は、ケタミン群で63.0%、プラセボ群で31.6%でした。
2024年に49試験、3982人をまとめたメタ解析でも、ケタミン投与後早期から希死念慮の低下が認められています。
こうした速さには臨床的な意味があります。
希死念慮が非常に強いと、
「死ぬことしか考えられない」
という状態になり、苦痛耐性スキルを使ったり、精神療法のなかで自分の状態を振り返ったりする余裕さえ失われることがあります。
その状態から、
「まだつらいけれど、ほかのことも少し考えられる」
というところまで希死念慮を下げることができれば、その後の治療に取り組みやすくなります。
ただし、ケタミンによって希死念慮が軽減することと、希死念慮が生じる背景そのものが解決することは別です。
そのため、ケタミン療法は、
強い希死念慮を短期的に軽減し、その後の治療に取り組む余裕を作る治療
として位置づけると理解しやすいでしょう。
長期的対処法① 希死念慮の原因となっている疾患を治療する
希死念慮の背景に精神疾患がある場合には、その疾患自体を治療することが重要です。
たとえば、うつ病による持続的な抑うつや絶望感が希死念慮の中心であれば、うつ病の治療を行います。
双極性障害、統合失調症などに伴う精神病症状、不安症、PTSDなどがあれば、それぞれの疾患に応じた治療が必要です。
また、不眠、強い焦燥、アルコールやその他の物質使用などが希死念慮を増悪させている場合には、それらにも対応します。
すべての希死念慮を「感情調節が苦手だから」と説明してしまわないことが重要です。
精神科診療では、なぜこの人に今「死にたい」という気持ちが生じているのかを評価し、その背景に治療可能な疾患があれば治療していきます。
長期的対処法② 感情調節能力を高める
原因となる精神疾患を治療することに加えて、長期的には、強い感情が生じてもその感情だけに行動を決めさせないためのスキルを身につけていくことが役立つ場合があります。
DBTでは、先ほど紹介した苦痛耐性だけでなく、
- 自分の状態に気づくマインドフルネス
- 感情を理解し、必要に応じて働きかける感情調節
- 強い苦痛の時間を乗り切る苦痛耐性
- 人間関係の中で自分の希望や限界を適切に伝える対人関係スキル
という複数の領域を組み合わせて学びます。
たとえば、「返信が来ない」という出来事からすぐに「嫌われた」「もう終わりだ」と考えてしまう場合には、実際に確認できている事実と自分の解釈を分ける方法があります。
また、「怒ったからすぐ相手を責める」「不安だから何十回も連絡する」といったように、感情がそのまま行動につながっている場合には、感情と行動の間に距離を作る練習を行います。
こうした長期的な感情調節については、当別の記事で、DBTの4つの領域、具体的なスキル、状況による使い分け、うまくスキルを使えないときの考え方まで詳しく解説しています。
関連記事:感情を整えるためのスキルとは|弁証法的行動療法に学ぶ4つのスキル
希死念慮を繰り返す場合には、「二度とつらい感情を感じないこと」を目指すのではありません。
強い感情が生じたときにも、
「今はまず苦痛耐性を使おう」
「少し落ち着いてから事実を確認しよう」
「一人では難しいから誰かに相談しよう」
と、「死にたい」以外の選択肢を少しずつ増やしていくことが長期的な目標になります。
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